【マッチレビュー】19-20 プレミアリーグ第24節 チェルシーVSアーセナル
皆さんこんにちはりょどりげすです。
今回はチェルシーVSアーセナルのロンドンダービーのマッチレビューをして行きたいと思います。
【図の説明 赤丸→範囲 緑→人の動き 黄色→ボールの動き】
◎結果
アーセナル 63分 3⃣5️⃣マルティネッリ
アーセナル 87分 2️⃣ベジェリン
◎スタメン
前節のニューカッスル戦からは3人の変更。マウント、ジェームズ、リュディガーに変えてバークリー、エメルソン、クリステンセンを起用してきた。
対するアーセナルは前節のシェフィールド・ユナイテッド戦からは1人の変更。メイトランド・ナイルズをベジェリンに変えて挑んできた。
■ビルドアップの出口エジル
アーセナルのビルドアップは大きく分けて2つのやり方がある。1つはラカゼットやWGに対してのCBからのロングボール。これはシステムの噛み合せ上4-2-3-1と4-1-2-3である事と、ビルドアップ時に形を変えないため、ボランチ2人がチェルシーのIH(カンテ、コバチッチ)がマークに付かれ使えないからだ。その他にも、チェルシーの前プレが2CBに対しては主にエイブラハムだけでの対応で時間を作れる事やCBにロングフィードの得意なダビドルイスがいることもある。(エイブラハムはダビドルイスには蹴らさずムスタフィに蹴らそうとしていた感もある。)
赤丸では2対1でそこから少し落ちるラカゼットやWGにロングボールを飛ばしていく
もう1つはその噛み合せを利用し右サイド大外レーンにエジルが降りてきてフリーを作りそこから展開する方法だ。エジルのマークであるジョルジーニョは、危険な中央のコースを空けれないのとラカゼットが降りても受けれるためアンカーのポジションを動けないそのため大外でフリーを作り出せていた。
ジョルジーニョはラカゼットがいる為ついていけない。エメルソンはぺぺが高い位置を取りピン留め
■落ちるコバチッチ
逆にチェルシーのビルドアップに対しては、エジルがアンカーのジョルジーニョを見る形で2CBに対してはラカゼットとWGのぺぺがSBとCBを両方見るような立ち位置を取ってきた。それに対してチェルシーはIHのコバチッチがジョルジーニョ横まで落ちる事で解決し押し上げていく。
ジョルジーニョにエジル、ぺぺがCB、SBを見る立ち位置。それに対してコバチッチが降りてきて解決する
■ムスタフィの失態
28分に試合が大きく動く。コバチッチのクリアボールを拾ったムスタフィがレノにバックパス。そのボールが短くエイブラハムにカットされ出てきたレノも交わされるその後ダビドルイスがエリア内で倒してしまいPK。ダビドルイスにはレッドカードが提示された。
この時ムスタフィにはプレスがかかっておらずフリーで持てたため軽率なミスだったと言える。
そのPKをジョルジーニョが落ち着いて右に決めてチェルシーが先制。アーセナルは残りの約60分を10人でプレーしなければいけなくなってしまった。
落ち着いてPKを決めたジョルジーニョ
■オドイの突破力 カンテのポジショニング
その後、チェルシーが10人になったアーセナルを押し込む展開が長くなる。
アーセナルはジャカをCB、エジルを1列落とし4-4-1のブロックを形成。
そのアーセナルに対しチェルシーはCB、ジョルジーニョを中心にサイドに展開しそこから攻めていく。左サイドでは大外にウィリアン又はエメルソンが入りハーフスペースにコバチッチ(エメルソンが大外ならウィリアン)が入りサイド攻略を試みた。前半は左から崩す形は少なかったものの、相手のブロックを左に寄せて右で優位性を作り出すのに一役買っていた。
相手のブロックを左に寄せて右に展開しフリーとスペースを作る事でオドイの突破力を引き出す
そして攻撃の鍵となった右サイドではオドイの突破力とカンテのポジショニングが光った。
オドイは右サイドの大外でボールを受けると選択肢は2つで縦に突破してのクロス又はハーフスペースに入るカンテとのコンビネーション。オドイはサカ相手に抜ききれなくても中に良いクロスを上げることが出来、この2つを使い多くのチャンスを作り出した。
カンテとのワンツーや自身の突破からチャンスを作るオドイ
オドイの突破力があるおかげでアスピリクエタは無理に上がらずリスク管理する事も出来ていた。
■前半まとめ
ムスタフィの軽率なミスから10人+1点ビハインドの展開になるも4-4-1のコンパクトなブロックを保ち前半はその1点で押えた。
対するチェルシーは押し込む時間が長くなりながらも中々ゴールが奪えなかったもののサイドは(特にオドイの右)崩せていた印象だ。
◎後半
■チェルシーの新たなサイドの崩し方
前半躍動していたオドイをマルティネッリがしっかり下がって守備をすることで中のコースが狭くなり少し抑えられて来たが、チェルシーは同じくサイドを起点に攻めていく。
大外でウィリアンが受け相手SBを引き出し空いたSBとCBの間のスペースをコバチッチが2列目からの飛び出しでボールを引き出しエリア内かクロスを上げ、前半とは違った形でゴールに迫った。前半は主に相手のブロックを引きつける事が多かった左サイドだが後半は崩しの鍵を担っていた。
CBとSBの間を2列目からの飛び出しでチャンスを作る
■アーセナルの救世主マルティネッリ
10人になるも最小失点で守っていたアーセナル
チェルシーのCKをムスタフィが弾きセカンドボールを切り替えはやく前に出たマルティネッリが奪いそのまま自陣からドリブル。ハーフライン辺りで少しタッチが大きくなるも対峙したカンテがスリップし、奪われずにそのままゴール前までドリブルで運びケパとの一対一決めて同点に追いつく。
自陣からのかなり長い距離(約60m)ドリブルで運んだマルティネッリだったがゴール前では18歳らしからぬ落ち着きでチームを助ける同点弾を叩き出した。
この試合マルティネッリは終始切り替えが速くなんとスプリント回数は両チーム合わせて1番の22回を記録した(2位のサカとラカゼットは11回)。
脅威のスプリント回数を記録したマルティネッリ
追いつかれたチェルシーは66分にコバチッチ→バークリー、69分にカンテ→マウントでゴールを奪いに来る。マウント左、バークリーが右。
2人の立ち位置はそれぞれ対照的でマウントは主にエリア内に入ったり裏にチャレンジするのに対して、バークリーはバイタルで捌いてオドイに預ける事が多かった。その中で前述したようなSBとCBのギャップをつく役割を担ったのがアスピリクエタだった。交代前までは右サイドではその崩し方はあまり行われてなかったが交代後はバークリーが捌きオドイがSBを釣り出しそのギャップを斜めの動きでアスピリクエタがつくことが出来ていた。
オドイで広げアスピリクエタで間を取る
■チェルシー再度リード エイブラハムの不運
チェルシーは77分にウィリアンに変えてバチュアイを投入し中のターゲットの枚数を増やしてきた。それに対してアルテタもぺぺを下げてホールディングを投入。後ろに5枚並べてきた。
その中で84分自陣からドリブルでエイブラハムが運びCKをゲット。それを早めにショートコーナーで初めてオドイが中にクロス。それをニアでアスピリクエタが合わしサイド逆転に成功する。
しかしこのCKをゲットした際にエイブラハムが電光掲示板に足を打って負傷。交代枠は残っておらずこれが後のプレーに影響を与えてしまう。
■ベジェリンのゴール エイブラハムの不運の結果
アーセナルは10人残りアディショナルタイム合わせて約10分と絶対絶命の中失点から3分後に試合が動く。
バイタルでトレイラから右のペナ角で受けたベジェリンが中にカットイン。そのままホアにシュートを撃ち同点に追いついた。
この時ベジェリンに対応していたのは縦突破に対してはエメルソン、カットインにはエイブラハムだった。しかし前述した通りエイブラハムは負傷しておりベジェリンにそこを上手く使われ中にカットインされてゴールに繋げられてしまった。
■試合総括
チェルシーとしては割と速い段階で相手を10人そして1点リードしていただけにこの勝点1はカンテのスリップやエイブラハムの負傷など不運はあったにしても3に出来た試合だろう。
逆にアーセナルからすればこの勝点1を拾えた事は大きかった。アルテタ監督になったがイマイチ結果に関しては風に乗り切れてなかった感があったがこのダービーマッチで最後に勝点を拾えた事や10人でも2度のリードを追いついた事は今後の弾みになる試合だっただろう。
読んで頂きありがとうございました。